極上魚沼産コシヒカリはなぜ美味しいのか?
美味しいお米を作る要素である「雪」について調べてみました。
雪と美味しいお米の関係を解明するため、津南町にある「高冷地農業技術センター」農学博士:浅野センター長からお話を伺いました。
「魚沼地方の積雪量は全国的にみても際立って多いです。毎年2~3mの積雪を観測し、年によっては4mを超える時もあります。
稲作をおこなう産地でこれほどの積雪量のある地域は稀です。しかしこの雪が、作物にとって様々な恩恵をもたらせてくれるのです。
土壌に雪が積もることで、積雪がある間は、作物栽培はもちろん耕作も行えなくなりますが、実はこの雪に埋もれた半年の間に、魚沼のお米が美味しいと言われる秘密が隠されているのです。
雪に閉ざされた土の中では、微生物が、住みやすい雪の下で、来年の稲のためにせっせと土作りをしてくれています。土壌中の有機物を分解し、雪解けの春に向けて、植物(稲)が養分を取り込みやすくする環境を整えています。
また、微生物の中には悪さをする菌(病原菌)も含まれていて、この病原菌が土に悪い影響を与えるのですが、雪の中では病原菌は活動しないため、雪の降らない地方に比べ発生割合も少なく、そのため土が良好な状態で保てます。
積雪量が多いということは、その分雪解け水の量も多く、したがって長期間にわたり、雪解け水を使用することができます。
これは豪雪地帯の魚沼地方ならではのメリットです。
良質な水を豊富に確保できる。これも雪のおかげなのです。
近年、優秀な保存技術として見直されているのが雪室です。雪室の最大の特徴は、温度・湿度変化が少ないところです。
一般の保冷庫で貯蔵する場合、設定温度まで上昇するとファンが回り、冷却がおこなわれますが、庫内に霜が降りたり、冷却とともに空気中の湿度も奪っていきます。
雪室はその点において、温度変化はもちろんほとんどありませんし、雪に囲まれていますから湿度は100%です。
米はこの寒さから身を守るために、たんぱく質を糖分に変化させます。雪国で貯蔵させることで熟成が進み、甘みと旨みが増す傾向が見られます。
魚沼の人々は、冬場に土間や車庫に米や野菜を置いておくことが多いのですが、春になるとお米が新米時よりも旨みを増すのは、この自然雪室効果にあるのです。
雪室貯蔵という点においても、魚沼地方は他産地に比べて優位性があります。
魚沼地方は積雪量が多いため、雪解けも遅く、長期にわたって雪を利用できるのです。
標高の高い山を背後に構える環境からの豪雪。
この、冬の間に積もった多くの雪が、良質な雪解け水となり、半年間じっくり休むことで力を取り戻した土壌に注がれ、美味しい魚沼産コシヒカリができる素地になることが分かりました。