魚沼地方の雪
東日本に大雪をもたらす積雪の要因は、シベリアおろしの冷たい季節風が、温かい日本海を渡っているうちに、多量の水蒸気を吸い上げます。
この湿った空気が背梁山脈にぶつかると上昇気流によって急に冷え込み、雪になって山麓部に降り注ぐために、信濃川上流地域の福島、群馬、長野の三県と境を接する魚沼地方は全国屈指の豪雪地帯になっています。
百三十年ほど前の天保年間に、南魚沼郡塩沢町で越後ちぢみの仲買商を営んできた鈴木牧之が「北越雪譜」のなかで、「およそ日本国中において、第一雪の深き国は越後なりと、古書も今も人のいうところなり。しかれども、越後においても、もっとも雪の深きこと一丈二尺に及ぶは、わが住む魚沼郡なり。<中略>これもって論ずれば、わが住む魚沼郡は、日本第一に雪の深く降るところなり」と魚沼地方の豪雪ぶりを伝えています。
毎年12月から4月までの5ヶ月間、2メートルから3メートル前後の深い雪に埋もれるので、11月の声を聞くと、冬ごもりの仕度が始まります。
野沢菜や大根を大きな桶に漬け込むのは主婦の方たちの仕事で、男性は、雪の重みから窓を守る「雪囲い」の用意に余念がありません。
「越の国 奥魚沼の 雪九丈」という句があります。
魚沼地方の人々は、2メートルや3メートルの積雪には少しも驚きませんが、まごまごしていると雪の重さで家がつぶされてしまうので、屋根の雪が1メートルを超えると雪おろしをしなければなりません。
この地方では、屋根の雪をおろすことを「雪堀り」と呼んでいます。
ひと冬に4,5回も雪堀りをすると、屋根から落とした雪で家はすっぽりと埋まってしまい、道路上に積み上げた雪が屋根より高くなることも珍しくありません。
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