日本一の豪雪地帯の「恵みの雪」

魚沼の豪雪を抜きにして魚沼産コシヒカリは語れません。

旧大和町(現南魚沼市)の雪の記録によると、43年間で、最高積雪が3mを超えること9回、2.5-3mが7回、つまり3年に1回、今日は3m内外の積雪ということになります。

消雪が5月にずれこんだ年が7回あり、その年は田植えが大幅に遅れることになりました。
ただ、そのことが直ちに不作につながるということも実証されておらず、むしろ田植えの後の天候に左右されるといった方が適切です。

むしろ雪による効果ははっきりしています。冬季の降雪は山間部を中心に厚い積雪層となって巨大なダムの役割を果たしています。この雪が少しずつ解けだして雪解け水となります。

雪解け水は田植えの時とその後の灌漑水として重要であるばかりか夏期の高温時には清涼な灌漑水として根の活力を高め、登熟向上をさらに高めているからです。

過ぎたる高温は魚沼産コシヒカリの等級を落とし、その食味にひびきます。清涼な灌漑水がそれを救うのです。

また、冬期間の積雪はそこに越冬する害虫にも大きな影響を及ぼしており、越冬害虫は西南暖地に比べて、種類、量ともはるかに少なくなっています。このことも稲づくりに大変都合の良い気候をもっていることを示しています。

さらに、新潟県の気候は、稲を収穫してから春耕が始まるまでの冬期間の水田を常に湿潤状態に保っています。この状態では土壌中の有機物の分解が少ないのです。

魚沼地方の水田は全国一肥沃な水田であると言われていますが、この沃野はこの積雪により、養分に富んだ土壌の堆積によって形成されたものなのです。

「日本一の豪雪地帯」の雪は極上の米作りにとっては、まさに「恵みの雪」なといえるでしょう。